皆さんこんにちは。
伊坂幸太郎さんの「火星に住むつもりかい?」を読みました。
ちょっとテーマに期待しすぎたかもしれません…。
作品紹介
あらすじ
舞台は、「平和警察」という制度が作られた、そう遠くはない未来の日本です。
危険人物を見つけ、事件を未然に処理するこの制度によって治安は向上するかにみえたが、実は現代の「魔女狩り」に過ぎませんでした。
この平和警察に対抗するため、仙台の街で1人のヒーローが立ち上がります。
概要
一応、ディストピアというジャンルには当てはまりますが、ポストアポカリプスとは違います。
荒廃した世界ではありません。
ちなみに伊坂幸太郎さんのディストピア・ポストアポカリプス系の小説には「終末のフール」という作品もあります。
コチラの記事で紹介していますので、良ければご覧になって下さい。
この小説の見どころ
平和警察と正義の味方という、2つの存在のそれぞれの正義の対立が見どころです。
最近、対テロ法案が可決されましたが、どこか重なる部分があります。
与党・野党、右翼・左翼がそれぞれの正義を展開しましたが、この小説はその一つの答えみたいなものを提示していると思います。
正義と正義がぶつかったときに何が生まれるのか、ここが見どころです。
また、警察側と正義の味方、それぞれのキャラクターが濃いのも見どころ。
むしろ、あまり細かいことは気にさせず、キャラクターの魅力で一気に読ませてるといっても過言ではありません。
このキャラクター、登場人物はどうなるのかと追っていくうちに、どんどん読み進めちゃいます。
展開も早く、盛り上がりどころも多いので、なかだるみするということもありませんでした。
この小説のここが残念
現代の魔女狩りという、重い内容のはずなんですが、全体的に軽いです。
読後感もなんだかあっさりしすぎています。
これといった原因はわかりませんが、全体的に設定が甘いんじゃないかと思いました。
強いのか、弱いのかわからない警察組織。
ヒーローの非現実的な武器、そして強さ。
恐ろしいほど静かなマスコミ。
あげれば結構あるような気がします。
こういった甘さが、軽さに繋がってるんじゃないかと思います。
個人的にはもう少し重くて殺伐とした雰囲気が良いと思いました。
でも、一番この作品で残念なところは、タイトルが内容と関係ないことです。
読み始めて途中までは何とか気づかないふりをしていましたが、中盤から薄々感じはじめ、気づいたときには引き返せませんでした。
火星って書いてあるから、SFの要素があるディストピア小説かとマジで思っていました。
むしろ、そこに惹かれたというか…。
そのタイトルじゃなかったら、そもそも読まなかったというか…。
このタイトル、実際は登場人物のなんてことないセリフなんで、物語と火星はまったく関係がありません。
いまさらどうしようもないと思いますが、このタイトルは本当にダメだと思います。
ちなみに作者もあとがきでタイトルがおかしいことを言及しています。
こっちとしては、じゃあなおさら違う題名にしてくれよって感じですが…。
この小説のおすすめ度
★☆☆☆☆
申し訳ないですが、星1つです。
タイトルに引っ張られて読んだ作品なので、正直満足できませんでした。
あと、一応ディストピア小説ですが、なんか好きなタイプでもありませんでした。
もう、伊坂幸太郎さんのファンだという方以外は読まなくてもいいんじゃないかと思うくらい、ザ・伊坂幸太郎って感じの作品なんで、ファンにはおススメです。