みなさん、こんにちは。
椎名誠さんの武装島田倉庫を読みました。
ディストピア愛に溢れた、素晴らしい作品です。
作品紹介
あらすじ
戦争が終結し20年。
街は崩壊し、環境が汚染された森や川には、異形の生き物たちが蠢いている。
文明が崩壊したこの終末世界。
しかし、こんな世界でもたくましく生き延びる人々がいた…。
概要
ジャンルはディストピア・ポストアポカリプス系ですね。
終末世界を生きる人々の群像劇、オムニバスです。
椎名誠と言えば独特のワードセンスで知られていますが、この作品もご多分に漏れずワードセンスが光っています。
ちなみに、作者の他作品「アドバード」と「水域」と合わせて、一応SF三部作という括りになります。
完全な続き物ではないので、どれから読んでも大丈夫です
ちなみに、「アドバード」が日本SF大賞を取りましたが、作者本人はこの「武装島田倉庫」の方が出来が良いと思っているようです。
私もそう思います。
この小説のここが良い
終末の世界での、人々の暮らしに焦点を当てた小説です。
しかし、人々の暮らしと言っても、普通の暮らしではありません。
人間はもちろん、異体進化した異形の生物たちとの争いが起こっています。
話にも出てくる運送業者や、漁師、渡船場、そして、タイトルにもある島田倉庫で働く人々は、常に死と隣り合わせです。
だからこそ、この世界に生きる人々はとてもエネルギッシュで個性豊かです。
ちなみに、私なら数秒も持たないような世界だと思います。
エネルギッシュで魅力的でなキャラクター達の終末世界での生き様を描いた今作品は、話の展開はスピード感がありおもしろく、アクションも迫力があります。
また、やっぱり椎名誠のワードセンスというか、造語センスも見どころです。
「ザンバニ船」や「カニムカデ」等の聞いたことも見たこともない、作者独自の造語がどんどん出てきます。
単語で見ると何が何だかわかりませんが、想像するのが楽しいですし、また、小説の世界に入ると簡単に想像出来ちゃいます。
わかりずらいようで、わかりやすいというか…。
不思議と、ちゃんと伝わってくるんですね。
この独特のワードセンスからなるユニークな雰囲気と、かなりのディストピアでハードな世界が、不思議とマッチしています。
この小説のここが悪い
独特の造語の世界に入るのに多少時間がかかるかもしれません。
そこで拒絶反応が出ると、先には読み進められないでしょう。
あと、壮大なSF物語ってわけでもないので、そういうのは期待しないでください。
全体的に椎名誠の妄想が垂れ流しのハチャメチャな小説なので、そこについていけるかがポイントです。
この小説のおすすめ度
★★★★★
星5つで大満足でした。
作者自身もこの小説書いてて楽しかったんじゃないかなと思うほど、作者の想像、妄想している終末世界がこれでもかと書いてあります。
それが最高です。
とてもエンタメ性の強い小説でもありますので、幅広い方におすすめします。
崩壊した世界で生きる、たくましい人々。
彼らの凄まじい生き様が気になる方、是非読んでみてください。