作品紹介
あらすじ
舞台は、遠い未来で人類は滅亡の危機に瀕しています。
「母」と呼ばれる存在のもと、ごくわずかの集団のみで生活を営む人類。
各地に転々と集団は存在していますが、お互いの集団は関わり合いをもちません。
人類は限られたコミュニティのなかでのみ命のサイクルを続けますが、実はそれは人類の滅亡を防ぐ為でもあります。
「母」というキーワードを軸に、人類衰退の歴史、人類復興の計画が語られていきます。
特徴
ジャンルは、ポストアポカリプス小説でしょうか。
ただ、普通の終末系小説とはちょっと毛色が違います。
何しろ壮大です。
今まで読んだ終末系の小説の中で、1番壮大です。
これ以上壮大なのは、もう出ないんじゃないかと思うほど壮大でした。
この小説の見どころ
見どころは、伏線の張り方と、その回収です。
のどかで、牧歌的な人々の暮らしから物語は始まりますが、この冒頭の話はとんでもない伏線になっているのでしっかり読んで欲しいです。
クライマックスで最初の伏線が回収されたときは、かなり度肝を抜かれました。
そして、ここだけではなく至る所に伏線があります。
最初はまったく関係のない話かと思いきや、実は関係があって、その関係性を繋げていくことで、この時代の人類の歴史みたいなものが見えてきます。
その歴史とは、簡単に言えば再生と破滅です。
終末系なので破滅はもちろんですが、再生の物語でもあり、神話っぽささえありますね。
神話というと、人類の破滅と再生を「神々の大いなる力」みたいなもので片づける、パワープレーがあったりしそうですが、もちろんこの小説はそんなことありません。
「母」という存在を軸に、人類の破滅と再生の歴史がしっかりと説明されています。
ネタバレになりそうなのであんまり言いませんが、この「母」の存在も含めて、結構現代にも通じる話でもあります。
ちなみに、「母」はすぐに正体がわかりました。
でも、最初の伏線は最後まで気が付かなかったので、何回も言いますが驚きました。
それほど、上手な展開で、オチがしっかりとしているということですね。
人類の再生と破滅を描きながら、現代へのメッセージというか、アンチテーゼみたいなものを発信している、壮大な小説でした。
この小説のここが残念
何しろ最初が読みづらかったです。
牧歌的だったり、神話っぽい雰囲気を出すための手法だと思いますが、まったりと盛り上がりのない展開が続くので、物語の世界に入るのに苦労しました。
少しずつ物語がわかってくると、話も盛り上がってきて読みやすくなってきますので、そこまでの我慢です。
この小説のおすすめ度
★★★★☆
星4つでおすすめ出来ます。
オチがしっかりしてて、壮大な終末系の小説を読みたい方、特におススメします。
人類は破滅するのか、再生するのか。
それに関わる「母」とは一体何者なのか。
気になる方是非ご覧になって下さい。